βアラニンの筋トレへの科学的効果。持久力向上、体脂肪減、除脂肪体重増。

トレーニング中のサプリメントとして選択肢に上がるのがβアラニン。研究によって持久力向上や除脂肪体重の増加などが報告されていますが、その働きや飲み方などはあまり知られていません。

この記事ではβアラニンの解説から、研究によって報告されている作用、そしておすすめの摂取方法を解説します。

ぜひ最後まで読んで、βアラニンをあなたのトレーニング効果向上に役立ててください。

βアラニンとは


βアラニンとは、アミノ酸の一種です。βアラニンは体内で、ヒスチジン(必須アミノ酸)と結合すると「カルノシン」に変化します。カルノシンは筋肉内に貯蔵されていますが、どのような働きがあるのでしょうか。

トレーニングなどによって筋肉に負荷がかかると、筋肉内に乳酸が貯まります。乳酸は筋肉のpHを下げる=酸性に傾けて、筋収縮を妨げてしまいます。このため、特に無酸素性運動の持久力・パフォーマンスを下げてしまうのです。

一方で、カルノシンにはpHの低下を抑える作用があります。カルノシンがpHの低下を抑えることで、持久力・パフォーマンスの低下を防いでくれるのです。

ヒスチジンは体内に豊富にあるため、βアラニンを摂取することで体内のカルノシンを増やせます。このカルノシンを増やすことで、さまざまな作用が研究により報告されています。

βアラニンの作用


βアラニンの摂取により報告されている作用は、主に以下の2つです。

  • 持久力向上
  • 除脂肪体重の増加

持久力向上

βアラニンの作用でもっとも報告されているのは、高強度トレーニングの持久力向上です。

男性の大学生に高強度インターバルトレーニングを行わせた研究では、βアラニンを摂取したグループの方が、より持久力が向上したと報告されています。*1

βアラニンのさまざまな研究を分析したメタ分析でも、60~240秒と240秒を超える運動能力が向上したと報告されました。*2

除脂肪体重の増加

除脂肪体重の増加も報告されています。

先ほど紹介した男性の大学生に高強度インターバルトレーニングを行わせた研究では、βアラニンを摂取したグループのみが有意に除脂肪体重を増加させたと報告されています。*1

レスラーとフットボーラーを対象にした実験でも、βアラニンを摂取したグループの方が、除脂肪体重を増やしたと報告されました。*3

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βアラニンの摂取方法


最後にβアラニンのおすすめの摂取方法をご紹介します。

  • ローディング・メンテナンス
  • 食事と一緒に摂る
  • クレアチンやEAA・BCAAなどのアミノ酸と同時摂取がおすすめ
  • フラッシュ

ローディング・メンテナンス

最初にローディングを行い、筋肉内のカルノシンレベルを高めましょう。βアラニンを1日3g×6週間の摂取で、筋肉内のカルノシンレベルを十分に高められます。

ローディングが終わったら、メンテナンス期間です。βアラニンを1日1?2g摂取し続けることで、βアラニンのレベルを維持できます。

食事と一緒に摂る

βアラニンを食間に摂取した場合と、食事と一緒に摂取した場合を比べた結果、食事と一緒に摂った方が、カルノシンローディングの効率が高かったと報告されています。*4

これは食事によって分泌されるインスリンが、カルノシンのローディングを刺激したと考えられます。

また、ヒスチジンは必須アミノ酸であり、一般的な食事にも十分に含まれています。そのため、ヒスチジンが含まれている食事と一緒にβアラニンを摂ることで、カルニチンレベルを高められるでしょう。

クレアチンやEAA・BCAAなどのアミノ酸と同時摂取がおすすめ

クレアチンとの同時接種により、持久力向上作用が高まる可能性が示唆されています。

βアラニンのみを摂取したグループ、クレアチンのみを摂取したグループ、クレアチンとβアラニンを同時に摂取したグループの持久力を比較した研究では、測定した8項目のうち5項目でクレアチンとβアラニンを同時に摂取したグループの効果が観察されたと報告されました。*5

また、アミノ酸のサプリメントであるEAAやBCAAと共に摂取するのもおすすめです。EAAやBCAAにも筋肉合成(除脂肪体重増)作用が報告されているため、βアラニンと合わせて飲むことで、さらに作用が高まると考えられます。

同時に摂取したい方は、βアラニンが含まれるEAAやBCAAのサプリメントを選ぶといいでしょう。

フラッシュ

βアラニンの摂取によって、身体の表面がピリピリする「フラッシュ」と呼ばれる症状が現れることがあります。一時的な不快感をもたらしますが、身体に悪影響はありません。

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まとめ


βアラニンは、必須アミノ酸のヒスチジンと結合することで「カルノシン」に変化します。カルノシンは筋肉内に貯蔵され、運動による筋肉内の乳酸蓄積=pHが低下して酸性に傾くのを抑えてくれるのです。

この作用により、運動の持久力向上が報告されています。また除脂肪体重の増加も報告されています。

筋肉内のカルノシンレベルを高めるためにβアラニンを1日3g×6週間摂取しましょう。その後は1日1~2gを摂取して、カルノシンレベルの維持をおすすめします。

食事と一緒に摂ることでよりカルノシンレベルが高まるという報告や、クレアチンとの同時接摂取で、より持久力が高まったという報告があります。EAAやBCAAと一緒に摂取するのもおすすめです。

βアラニンを活用して、トレーニングの持久力・パフォーマンスを高めてください。

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<参照文献一覧>

・サプリメントA to C ー 山本義徳 業績集14

*1 Effects of beta-alanine supplementation and high-intensity interval training on endurance performance and body composition in men; a double-blind trial ー J Int Soc Sports Nutr. 2009 Feb 11;6:5. doi: 10.1186/1550-2783-6-5. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19210788/

*2 Effects of β-alanine supplementation on exercise performance: a meta-analysis ー Amino Acids. 2012 Jul;43(1):25-37. doi: 10.1007/s00726-011-1200-z. Epub 2012 Jan 24. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22270875/

*3 Effects of β-alanine supplementation on performance and body composition in collegiate wrestlers and football players ー J Strength Cond Res. 2011 Jul;25(7):1804-15. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181e741cf. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21659893/

*4 Meal and beta-alanine coingestion enhances muscle carnosine loading ー Med Sci Sports Exerc. 2013 Aug;45(8):1478-85. doi: 10.1249/MSS.0b013e31828ab073. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23439427/

*5 Effects of 28 days of beta-alanine and creatine monohydrate supplementation on aerobic power, ventilatory and lactate thresholds, and time to exhaustion ー Amino Acids. 2007 Sep;33(3):505-10. doi: 10.1007/s00726-006-0399-6. Epub 2006 Sep 5. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16953366/