BCAAの筋トレへの科学的効果。筋肉合成・脂肪燃焼・回復の促進

トレーニング時のサプリメントとして有名なBCAA。血中アミノ酸濃度を素早く高めて、筋肉の合成を促進したり、分解を抑制したり、回復を早めてくれたりなどトレーニング効果を高めてくれます。

この記事ではBCAAについて、基礎知識の解説から作用や摂取方法について書いています。この記事を読めばBCAAの基本が分かるようになっているので、ぜひ最後までご覧ください。

BCAAとは


BCAAとはアミノ酸の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類のこと。アミノ酸は20種類あり、必須アミノ酸9種類と非必須アミノ酸11種類に分かれます。

必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事やサプリメントでの摂取が必須です。一方で非必須アミノ酸は基本的に体内で合成できるため、摂取しなくてもある程度は体内で作れます。

  • EAAとの違い
  • プロテインとの違い

EAAとの違い

BCAAとよく比較されるサプリメントがEAA。BCAAとEAAの違いについて解説します。

必須アミノ酸は9種類あると解説しましたが、BCAAはそのうちバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類しか含まれません。一方でEAAはすべての必須アミノ酸を含みます。

必須アミノ酸9種類は以下のとおりです。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン
  • リジン
  • メチオニン
  • トリプトファン
  • スレオニン
  • フェニルアラニン
  • ヒスチジン

BCAAは必須アミノ酸の中でも、筋肉合成作用の強いバリン・ロイシン・イソロイシンが含まれています。必須アミノ酸がすべて含まれるEAAの方がBCAAよりも筋合成作用は強いのですが、その分値段も高いので出費を抑えたい方にはBCAAがおすすめです。*1

プロテインとの違い

プロテインを和訳するとタンパク質です。サプリメントのプロテインは、一般的にタンパク質の含有量が多い粉末を指します。

タンパク質は小腸でアミノ酸に分解されて、体内に吸収されます。BCAAもプロテインも体内ではアミノ酸として働くため、作用はほぼ同じです。

しかし、吸収速度に違いがあります。プロテインは小腸で、タンパク質→ペプチド→アミノ酸の順で消化・吸収されるため、時間がかかります。

BCAAが摂取してから15~30分で血中アミノ酸濃度が最大化するのに対し、プロテインでは60分ほどかかるのです。なので、すぐに血中アミノ酸濃度を高めたい起床直後や、トレーニング前~中にはBCAAが向きます。

逆に、大量にアミノ酸を摂取したい場合はBCAAよりも安価なプロテインが向いています。

BCAAコラム画像02

BCAAの作用


続いてBCAAの作用について解説します。BCAAの主な作用は以下の3つです。

  • 筋肉合成の促進
  • 体脂肪燃焼の促進
  • 回復の促進

筋肉合成の促進

筋肉は、血中アミノ酸濃度が高くなると合成されやすくなり、低くなると分解されやすくなります。特にトレーニング中は筋肉の合成も分解も活発になるため、血中アミノ酸濃度を高めておくことで、より筋肉が合成されやすくなるのです。

体脂肪燃焼の促進

筋肉合成が促進されて筋肉量が増えると、体脂肪の燃焼にも有利に働きます。一般人を対象にした調査では、BCAA摂取量の多い人の方が、少ない人よりも肥満になりにくかったと報告されています。*2

回復の促進

12人の女性を対象にした実験では、スクワット前のBCAA摂取によって筋肉痛が減り、筋力の低下が抑制されたと報告されています。*3

BCAA摂取により、トレーニング後の筋肉痛を抑えて筋力の低下を防ぐなど、回復を促進できます。

BCAAコラム画像03

BCAAの摂取方法


最後にBCAAのおすすめ摂取方法をご紹介します。あなたがBCAAを飲むときの参考にしてください。

  • サプリメントがおすすめ
  • タイミングと摂取量

サプリメントがおすすめ

BCAAは魚や肉などのタンパク質中に含まれますが、多くても100g中2~5gほどと、ごくわずかです。この量では欲しい効果は十分に得られません。

そしてなにより、BCAAを摂取する目的はすぐに血中アミノ酸濃度を高めること。食事から摂取すると血中アミノ酸濃度が高まるのに数時間かかるため、目的は果たせないのです。

そのためBCAAを摂取する場合は、サプリメントを用いましょう。黄金比と呼ばれるロイシン2:バリン1:イソロイシン1の割合で含まれるサプリメントがおすすめです。

また、トレーニング中には糖質がエネルギーとして消費されるため、糖質の「マルトデキストリン」が含まれているとワークアウトドリンクに最適です。

タイミングと摂取量

BCAAを飲むと、血中アミノ酸濃度が15~30分でピークになります。そのため、血中アミノ酸濃度が低下している起床直後や、筋肉の合成・分解が活発になるトレーニング前~中に飲みましょう。

【起床直後】

1回6gほどを起床直後に飲んで、血中アミノ酸濃度を高めましょう。できるだけ早く血中アミノ酸濃度を高めることで、筋肉の分解を抑制できます。

【トレーニング前~中】

BCAAを飲むと、血中アミノ酸濃度が15~30分でピークになります。そのため、トレーニング30分前からトレーニング中にかけて10~15gほどを飲みましょう。トレーニング中の血中アミノ酸濃度を高められます。

まとめ


BCAAとはアミノ酸の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類のことでした。EAAは必須アミノ酸9種類をすべて含みますが、BCAAは3種類だけ。そのため、効果はEAAの方が高いものの、価格はBCAAの方が安価です。

BCAAの主な作用は、筋肉の合成や脂肪燃焼、回復の促進です。

BCAAのサプリメントを摂取することで、15~30分で血中アミノ酸濃度が最大化します。なので血中アミノ酸濃度が低下している起床直後に6gほど、筋肉の合成と分解が活発化するトレーニング前~中に10~15gほど飲むのがおすすめです。

BCAAをうまく活用して、あなたのトレーニング効果を高めましょう。

BCAAコラム画像04

<参照文献一覧>

・サプリメントA to C ー 山本義徳業績集

*1 Activation of mTORC1 by leucine is potentiated by branched-chain amino acids and even more so by essential amino acids following resistance exercise ー Am J Physiol Cell Physiol. 2016 Jun 1;310(11):C874-84.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27053525/

*2 Higher branched-chain amino acid intake is associated with a lower prevalence of being overweight or obese in middle-aged East Asian and Western adults ー J Nutr. 2011 Feb;141(2):249-54.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21169225/

*3 Branched-chain amino acid supplementation before squat exercise and delayed-onset muscle soreness ー Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010 Jun;20(3):236-44.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20601741/